[コラム] カメラマン

この記事の所要時間: 147

最近、渋谷駅界隈で一眼レフを首に下げ、若い女性にモデルになって欲しいと交渉を試みる人たちを見かけるんだけど、そのカメラマン氏の目的は何なんだろうと考えてしまう。
 
だって、片っ端から声をかけている姿からは、どうしてもその女性でなくてはいけないという意思が見えないんだもん。女性なら誰でもイイというのならば相手に失礼な話だし、写真をダシにして女性とお近づきになりたいのだろうかと勘ぐりたくもなる。そもそもの話、モデルが男性ではいけないのだろうかと思ってしまう。
 
写真撮影は僕も20年来の趣味にしているけど、人間をメインの被写体にするのって物凄く難しいと思ってる。
自分のパートナーとか家族とか気心の知れた友人ならば、割と自然に相手の呼吸や表情を測ることができるけど、全くの赤の他人と、その人物以外の構図とを組み合わせて、自分の表現したいものを即興で組み立てて一瞬の情景を切り抜くなんてできるんだろうか。
 
それをやってのけるのがプロなのかも知れないし、駅前でのナンパまがいはプロに迫るための鍛錬なのかも知れないけれど、オレ様が考えたオレ様の芸術のためにさあ利用されてくれと、見ず知らずの人にいきなり迫られても、女性の側は言下にお断りするのが社会通念上の対応だと思う。
 
どうしても被写体となる人物が必要だというのならば、友人や知人のつてをたどるなり、然るべき報酬を払って人材を見つければよいのであって、物事の過程を顧みず、自分にとって面倒なことを全部すっ飛ばして、手っ取り早く結果だけを得てカッコイイ自分に酔いしれたい、という今を生きる若い人たちの浅薄で自己中心的な思考回路が垣間見えてしまう気がする。
 
自分らしく生きるとか、個性を尊重するといった当今の教育は素晴らしいかも知れないけど、世の中には自分とは違う意思と個性をもった他人がいて、自分が利用できる道具ではないということまで教えているのだろうかと時々不安を催す。

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n-mizuno
1976年東京生まれ。小学校から12年間男子校で過ごした後、ほぼ女子校状態の大学に進学。就職してからは、アフリカ、ロシア、モンゴル、東南アジアを駆けずり回って海外営業にいそしむ。自称・日仏英伊クアッドリンガル。

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