就活概論 (11) 面接の実際

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最初に入った会社で、一次面接の面接官を何度も務めたことがある。
 
こういうこと、ホントは喋ってはいけないんだけどね。他の会社がどういうシステムになっているのか分からないのであくまで参考までに。
 

禁止事項と評価基準

面接官はまず、事前に質問事項の例について説明を受ける。ここで言われるのは概ね禁止事項(政治信条や信仰、国籍、性別に関わるような質問はダメといったポリティカル・コレクトネスに関する注意)が殆どで、実際の面接のやりとりについては「基本的にエントリー・シートに沿った内容で質疑してください」「所定の時間が終わったら、相対評価ではなく絶対評価で(特定の人を基準にするのではないという意味)5段階評価をつけてください。」と言われただけ。
 

面接開始

で、当日面接の直前(本当に本人が部屋に入ってくる寸前)にエントリー・シートを手渡される。これは事前にじっくり読み込んでしまわず、余計な偏見が入らない状態で面接に臨んで欲しいという人事部の方針なんだと想像する。
 
学生さんが入ってきていよいよ面接になるんだけど、事前の情報が本当に何もないから、いきおいその場で「自己紹介と自己PRをお願いします」と言ってその方の人となりを訊くことになる。そして、その後は志望動機だとか、エントリー・シートに書かれている内容のうち、訊いてみたい内容について質問することになる。
 
エントリー・シートはカタログだって先に書いたけど、限られた時間で質疑応答をして、面接官としての判断を下さねばならない局面では、エントリー・シートが唯一の判断材料(もちろん本人の外見やコミュニケーション力も問われるわけだけどそれは後述)。エントリー・シートに自分を売り込む要素をしっかり書き込んで気を引いておかないと、たくさんの人と面接する面接官は、あなたをその他大勢と一緒にしちゃう危険性が高いわけ。
 
ちなみに面接1人あたりの時間枠は30分。面接自体は20分程度で終わって、残り時間で評価のメモを書いたり、休憩に充てたりしてた。先に述べた通り、5段階評価をした上で所感を書くんだけど、5か4でなければ基本的に二次面接には進めないと後になって聞いた。

合否基準

何年か面接官を務めていると、学生さんの傾向というか、面接を突破する人かどうかが最初の1分くらいで分かってしまう。これは自分でもまったく不思議なことだった。
どうしてなんだろう、って思っていて気づいたのは、自分と対峙している学生さんのことを、自分と一緒に働ける人かどうか、同じ組織で旨くやってゆける人なのかどうか、という視点で見ていることだった。

自分がいまやっている仕事を一緒にしてもらえそうか、その時にどれくらい助けになってくれそうかってことが大事なのであって、それはエントリー・シートというカタログ上のスペックと、対話している相手の人となりや応対の姿勢から判断するわけだけど、肝心の学生さん自身にどういう意識が備わっているかは少し話しただけで分かってきてしまうものなんだ。
自分がこれまでにやってきたことや将来の希望を説明できて、それだから御社で働きたいんです、というメッセージが明確に伝わってくる人というのは、たとえ話し方が上手ではなく、うつむきがちであったり緊張で声が上ずってしまったり早口になってしまったとしても、確実に次のステップに進むことができる。
学歴がどれだけ凄いとか、どこそこで表彰された実績があるとか、部活で活躍したなんてことは二の次三の次だった。大事なのは実際に働いている人の共感を得ること。そしてその為に何を伝えたらいいのかを理解して面接に臨んでいること。
 

ソフィスティケートされたインテリジェント・ソサエティ

反対に、自分のスキルは凄いだろう、こんなことやってきたんだぞってどれだけ披瀝してこられても、それが実際に働いている人間に興味を引かせるものでなければ、的外れな自慢話にすぎない。

以前面接した、ある有名な大学の有名な学部の学生さんが初っ端の自己紹介のところから
「私はソフィスティケートされたインテリジェント・ソサエティの実現と何々を目指す…」
という演説を自信満々始めてきた。それはどうやらご自身の専攻のようだったけど、カタカナ語の羅列だけで中身をまったくイメージすることができなかった俺は、
「いまご説明いただいた内容をもう少し分かりやすく教えていただけますか」
と聞いてみたんだけど、その方は誇ったような顔で、
「ですから私はソフィスティケートされたインテリジェント・ソサエティの…」
と言い出した。
これはもう完全に自己PRを自己アピールと取り違えているのか、自分のやってきた素晴らしい実績で面接官を圧倒すれば一次面接なんて余裕で突破できるとでも思っていたのかも知れない。でも、それでは面接官の共感を得ることは難しいし、事実、俺はこの方と一緒に仕事をしたいとは思えなかった。
 

同意と共感

面接の要諦とは、次のステップに進む為の同意を得る(=共感してもらう)ことにあるのであって、面接官を倒すことではない。自分を倒しに来た奴をみすみす二次面接に進ませるかよ(笑)。優秀でも就活がうまくいかない、っていう人に欠けているのは、面接官に自分の味方になってもらうという意識の欠如じゃないかと思う。
 
(つづく)

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shibuyade
英語ができないのに外資ではたらくことになったガジェット好きサラリーマン。都内在住。2014年より「渋谷ではたらく外資系社員のBlog」を開設。尊敬する人:チェザーレ・フィオリオ

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