就活概論 (12) もう一度企業研究

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さて、ここまで延々と就活概論を述べてきたけれど、これから先のお話はあまりない。個別の事柄に入り込んだら概論じゃないし。
 

企業研究って

面接までやや先走りすぎた気がするけど、企業研究についてもう一度考えたい。
OB訪問を重ねていくら話を訊いても、それはOB自身の視点であって会社全体は見えないんじゃないか、って疑問もあると思う。それは全くその通りで、企業研究といっても数名からの口伝では限界がある。
 
では、どうしたら企業活動が分かるんだろう。
ウェブサイトに載っているキャッチコピーや社長のメッセージ的なものは、大概は広告代理店が考えたもので会社本来の姿ではないと思っていて良い。会社説明会等のイベントにしても同様。
 

投資家情報

企業の本当の姿を知るには、上場企業について言えば、投資家情報(IR)のページにある「経営計画」(その年度のみ)「中期経営計画」(向こう3年〜5年間)を見ると明確。あるいは、決算書類にある「経営方針」も同じようなもの。何に注力していてこれからどうしたいかが書いてある。
 
企業は投資家にお金を出して貰いたいのだから、自分の会社がどうやって成長していくのかを分かりやすく正直に書きます(ウソをつくと証券取引法違反で捕まります)。よって、数字や利率などの指標は読み飛ばしてでも経営計画の文言はじっくり読むべき。
そして、注力している分野や将来の計画を読んで、それで会社がどうなるのか、自分はそれにどう関われるのかを考えておく必要があるだろう。

例えば、数年前大手オンラインショッピング運営会社が海外のメッセージングアプリの会社を買収した。そのアプリは、運営会社の人自身が「LINEみたいなもの」と言ってしまうほど似ていて、LINEがあれば不要じゃないか?と思えなくもない。事実、類似アプリのひとつは既にサービス終了が決まっている。
ただし、その運営会社のグループにはポイント制度や銀行や証券会社があって、独自の経済圏があるといえる。この経済圏に買収したメッセージングアプリをどう活用してゆくのか、自分ならどんなアイデアがあるかを考えておく必要があると思う。
「ああ、LINEみたいのありますよね」「海外企業買収してすごいですよね」といった他人事のようなコメントしか出てこないのだとしたら、その時点でアウトだというのは想像できると思う。
 
蛇足ながら「中期経営計画」が毎年のように画餅に終わっているのが航空業界。
誰も自社の経営破綻を計画してはいなかっただろうし、ボーイング787を初めに買うぜと自慢はしても、納入が3年4ヶ月も遅れた挙句に発煙事故で運航停止に追い込まれるなんてことを経営計画に盛り込んでいる筈もない。
で、結果としてウソに終わってしまった計画を新聞やテレビが指摘しないのは、彼らが莫大な広告宣伝費を握っているからだという現実を、我々は意識しておく必要があると思う。
そして、破綻していない航空会社の経営者が、記者会見のたびに、破綻して再生した同業他社の悪口を言うのは
「自分たちの経営が悪いのではなくライバルが不当に力をつけたからです」
と投資家に力説する必要があるからだと僕は思ってる。つまり、経営者が最初に見ているのは株主であって自社便を利用するお客じゃないんじゃないか、現場よりも数字が大事なのか、と。
あくまで俺の印象でしかないけど、企業が発するメッセージが誰に向かっているのか、何をしたくて発しているのかを考えてみるのも、立派な企業研究の一つだと思う。
 

ヒントの活用

また、当然のことながら、こうした資料に書かれている用語に分からないものがあれば、予め調べるなり、OBに聞くなりする必要がある。
たとえば企業形態として「社内カンパニー制」「委員会設置会社」といったものがあるけれど、単に言葉を理解するだけではなく、その制度があるのとないのとではどう違うのか、利点と欠点は何かを自分なりに考えておく(分からなければ聞く)ことが大事ではないかと。
 
面接が進むにつれ、何を話したら良いか悩んだり、どうして他社じゃなくてウチなんですか?と聞かれた時の反論が見つからない、といった局面を迎えることもあるだろう。そうした時の話題の引き出しとして、経営計画を頭に入れておけば、その内容を参照できることはもちろん、そこに書かれていないことへの疑問も列挙することができるんじゃないかと思う(どうして特定の分野に参入しないのか、他社がやっていないことになぜ参入できたのか、等々)。
 
(つづく)
 
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shibuyade
英語ができないのに外資ではたらくことになったガジェット好きサラリーマン。都内在住。2014年より「渋谷ではたらく外資系社員のBlog」を開設。尊敬する人:チェザーレ・フィオリオ

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