就活概論 (7) エントリー・シート

この記事の所要時間: 625

さて、だんだん就職活動の核心に迫ってきた。
 

エントリー・シートって何ですか?

「~って何ですか?」という質問を投げかけるのは、自分がターゲットにしているものや、これから取り組むものの定義や完成形を知らないまま突っ走っても、結果は無惨なものになるに決まってるから。
で、エントリー・シートって何でしょう?
 
最も単純に言うと、エントリー・シートっていうのは自分のカタログ。 買いたいものを比較検討するときに、カタログをもらってくることはあるよね?企業の採用担当者は、あなたが誰なのかどういう人でどういう特徴があるのか、全然知りません。だから、カタログを手に入れたいわけ。
他の学生じゃなくて、自分をこそ採用して欲しいんだよね。ならば、そのカタログの書き方、表現の仕方、見せ方をよくよく考えないと、どんなに自分が優秀であっても、カタログが採用担当者の眼に留まらない、理解されない、誤解される…となると、望む結果が手に入らないかもしれない。
単に設問事項に答えて文字数を埋めるのがあなたの仕事じゃない。自分を売り込むカタログをつくるんだっていう目的があれば、書く内容も書き方も、随分変わってくるんじゃなかろうか。
 

自己PRって何ですか?

自己PRって何でしょう?もっと言うと自己アピールとの違いって何でしょう?
前に就活中の若い友人にこの質問を投げかけてみたんだ。そうしたら、PRの意味を考えたこともない、アピールと同じ意味だと思ってた、とのたまう。やれやれ、この人は自分が書くべき内容の定義も分からずに、何を回答するつもりだったんだろう…
 
PRって辞書引けば載ってるけどPublic Relationsのことだよね。アピールとどう違うんでしょう?両方とも一種の宣伝っていう意味では同じかもしれないけど、だったらわざわざ違う言葉で表さないよね。
アピールっていうのは単なる自己主張。自分はこうですああです、英検何級でサークルの副部長でボランティア活動してきました、ゼミは誰某教授です専攻は国際政治です、等々。
PRには広報って訳語があるけど広報を辞書で引くと
「施策や業務内容などを広く一般の人に知らせること」(『大辞泉』)
とある。
広く知らせる、つまりあなたのことを何も知らない採用担当者や面接官に、あなた自身を分かってもらうことがPR。もっと言うと、自分がこれまで得てきた経験やスキルが、入りたい会社でどう活かせるか、自分が社会とどういう接点があって、入りたい会社とどういう接点を持ち得るのかを説明するのがPR。
 
前にOB訪問してきた学生さんが自分の履歴書を見せてくれたんだけど、自己PR欄に「私の特技は常に人を笑わせることができることです」って書いてあったのね。でも、現実に目の前にいる学生さんは緊張しきっていて、俺を笑わせるには程遠かった。別の方は「私は空手の国際なんとか大会で2位に入った」と。うん、それは確かに他の人にはない特技かもしれない。でもね、お笑いも空手も、これから入る会社にとって必要なスキルなんだろうか?
ユーモアも体力も、社会人として持っていて困るものではないだろうけど、それが会社のどういう部分に役立って、自分を雇ってよかったって思ってもらえるのかっていう視点は、その方たちの説明からは見出せなかった。
 
アピールとPRの違い、分かってもらえただろうか?
 

志望動機

就職マニュアル本には「受ける会社によって志望動機を変える必要はない」と書かれているらしく、それが分からないって相談されることがある。確かに、ちょっと面食らうかも知れない。
でも、これまでに見てきたように、自己分析、企業研究、OB訪問をやってみれば、自分の取り柄が何で、どういう分野の業種に行けばそれが活用できそうかってことは分かってくると思う。
数多ある企業すべての採用試験を受けるわけにもいかないし、前から言ってるカノジョゲットの話になぞらえてみれば、わざわざショートカットの女性に近づいて
「俺はロングヘアーの子が好みなんだ」
なんて言いに行く必要はないのだし、憧れの人と本当にスキな人の区別はついてくると思うんだ。
 
最も単純に言うと、自分が今までの人生で培ってきた経験なりスキルは、どういうものがどれだけあるかを考えて、それらが活用できる、或いはその経験があるから新しい分野でも挑戦できる、という筋書きを考えて、だからこの会社に入ってこういう分野の仕事をしたいんです、という結論が描ける会社でなければ、その会社を受ける意味が無いんだと思うし、その結論が描けている限り、志望動機の大筋は変わりようがないはずなんだ。
もっと言えば、自分が本当に進みたい道が固まっているのならば、こんなサイトを見ているまでもなく、自分の目標とすべき道に既に歩んでいるはずで、自分に足りないものがあるのならば、それを習得するための努力をとっくのとうに始めていなくちゃいけないはずなんだ。
漠然とよく分からないまま、とりあえず自己分析やっとかないと、みんながOB訪問してるから自分もしておかないと、なんて思ってぼんやりしていると、自分が欲しいものは遠ざかってしまうばかりじゃないか。
 

モノは言いよう

エントリー・シートに書く内容について相談を受けたことが何度かあるんだけど、必ずと言っていいほど聞かれるのが「自分の欠点は書く必要があるでしょうか」ってこと。 答えは決まってるんだ。書いてはいけません。先に述べたとおり、エントリー・シートというのはあなた自身のカタログなんだ。そのカタログに「実はこの商品にはかくかくしかじかの欠点があります」なんて書いてないよね。「あれもできます、これもできます」って書いておきながら小さい字で「この機能を使うにはオプション品を購入する必要があります」とか「このシステムは高い最上位機種にしか装備されていません」なんて但し書きがあったりするのが普通。ウソを書いてはいけないけど、ものの見せ方、言い方ってものがあるんだと思う。
「iPhone5cのボディは安価なポリカーボネイト製で、じきに傷だらけになります」
というのと
「iPhone5cは軽量かつ光沢を持ったカラフルなポリカーボネイト製ボディです」
というのでは、どちらが宣伝文句になるだろうか?議論の余地はないと思う。
 
話がそれるけど、以前ある航空会社が「50人に1人、タダ」というキャンペーンを行ったことがある。キャンペーン期間中の対象区間で本当に50人に1人が無料になったんで、新聞など報道各社は好意的に取り上げているところが多かった。でも、冷静になって欲しい。
50人中1人無料ということは、100人中2人だ。残りの98人はふつうに運賃を支払うのだから、割引率は僅か2パーセントってこと。団体割引だとか早期予約割引だとか、いろんなディスカウントが当たり前の航空会社で、2パーセント引きというのは痛くもかゆくもない値引きだろう。でも「タダ」という言葉には物凄い魅力があって、関心を引きやすい。他の会社じゃなくてタダになるかも知れない飛行機に乗ってみよう、という気持ちにさせられる。
この技術から学べるヒントはないだろうか?自分を選んでもらう為に、同じことを宣伝するのであっても、ウソをつかず、誇大広告でもなく、それでいて人の関心を引く表現の仕方ってのは、じっくり考えてみる必要があるんじゃなかろうか(それを教えて下さいなんてお訊きなさんなよ。自分を売り込む重要な局面で、自分にしか無い売りを考えなくちゃいけないのに、この期に及んでマニュアルに頼ってコピペしようと思ってるの?)。
 
(つづく)
 
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shibuyade
英語ができないのに外資ではたらくことになったガジェット好きサラリーマン。都内在住。2014年より「渋谷ではたらく外資系社員のBlog」を開設。尊敬する人:チェザーレ・フィオリオ

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