【レビュー】Finsix dart購入までの顛末(2)

前回の記事を書いてからずいぶんと間があいてしまった。
この間に何が起きたのか。結論をいうと何も起きていない。
メーカーのFinsixだって音信不通だった訳ではないので多少言及しつつ、
Kickstarterのようなベンチャープロジェクトの難しさについて触れてみようと思う。

Finsixは出資者への初回発注を2014年夏→2014年11月→2015年2月→2015年5月→2015年7月→2015年11月と幾度も延期してきた。
細かい事は送られてきたメールには書かれておらず、「細かい修正が必要になった」「サプライヤーや製造委託先との交渉は進んでいる」「スタッフを増やして頑張っている」という曖昧な表現でお茶を濁している。
2回目の延期までは落胆や憤りもあったが、3回目移行は「はいはい、またですか」という程度で諦めがついてきた。

FinsixはMITの学生6人がスピンオフしてできた会社である。MITで確立された技術で、しかも具体的なサンプルを示す事がよかったのか、当初募った20万USDを大幅に超える46万USD近くを集める事に成功した。
その後スタッフを雇い、部品サプライヤーや製造委託先との交渉も進め、順調に滑りだしたように見えた。最初の頃は製造工程に並ぶパーツなどの写真を示して、順調さをアピールしていた。
しかし、2回目の延期ぐらいからはメールで済ませ、写真などの目に見える形の更新は少なくなってきた。「ロジックボードの細かい修正をしている」などと書かれている。
いくらMITの優秀な学生たちとは言え、ビジネスましてや製造を伴いビジネスには経験が不足しているので、製造業に努めている筆者は遅れるのは当たり前とたかをくくっていた。

筆者の勤め先でも電源ユニットを作っているので関係者に聞いたところ、「着眼点は良いが、ノイズ対策が大変そうだ」と言っていた。
ACアダプターと言えど作ってそのまま売るわけにはいかない。発売が想定される国の認証を取る必要がある。もちろん今どきPCは世界で売っているから一カ国ずつ承認を取るわけではなく、影響力の大きいマーケットがある国の認証を各国でも採用するという形が一般的だ。
(日本でも2008年頃にPSEマークのないACアダプターが流通できなくなる事があった)

こういう認証というのはそう簡単には通らない事も少なくない。また、回路に変更を加えた場合は認証の再取得が必要になるケースもある。だからデスクトップPCメーカーの中には電源ユニットをPCに内蔵せず、外付けにする事で、PCの更新時に再認証を回避するメーカーもある。
さて話を元に戻すと、「ロジックボードの修正を加えている」を進捗メールで多発していることからノイズが基準値以上で認証が通らない→ロジックボードを修正→認証リトライ→ノイズが基準値を下回らないを繰り返していた可能性がある。こうなるとどうしても時間がかかってしまう。ベンチャー企業はここらへんで行き詰まって投資したお金がパーになる覚悟もしなくてはいけないが、FINsixに限って言えばまだ大丈夫そうである。(と信じたい)

というのも今月、FINsixが丸文と代理店契約を結んだのだ。記事には2015年内の製造開始、2016年発売とあるので来年までは覚悟しないといけなそうだ。(代理店販売よりも出資者への出荷を優先してほしいところではあるが)
記事にあるが、発表した頃よりタブレットなどの市場も広がってきているし、その対応をしているのかもしれない。あまり良くを出さないで別製品として進めて、一出資者としてはまずは地に足をつけてほしいものである。

ともあれ、余り期待しすぎずFINsixの行方とDARTの出荷を見守っていきたい。

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