ミュージシャンを目指す男子と、マンガ家を夢見る女子。中学の卒業式の日、10年後に再会を誓い合った2人は…
雪国の地方中学を舞台に、2人の想いと夢はふくらむが、その内面はバラ色とはゆかない…
でも、あらゆる願いが、かなえられなかった時の絶望感を含んでいるのと同じように、予感は不安と表裏一体だ。
2人の間に時は流れ、自分の気持ちをよそに、周囲は速度を上げてやさぐれてゆく…
「彼氏のことちゃんとすきなんだけどさ。でも、なんていうのかなあ、すっごいハッピーエンドが待ってるわけじゃないじゃん。相手をとっかえひっかえしてりゃ、ドラマチックに過ごせるのかもしんないけど、私、それ一生やってける度量も容姿もないし」
初恋のきらめきと甘酸っぱさ、のしかかる現実、自分だけのものではなくなってゆく日々の生活の中で、あの日約束した10年後に向かって、離れ離れになった彼と彼女の、退廃と苦闘の日々が、読者の胸にも静かに刻まれてゆく佳作。
The following two tabs change content below.
Latest posts by non-non (see all)
- 勝手にフランス文化再入門(2) フランス起源の単語 - 2018年4月9日
- 勝手にフランス文化再入門(1) フランス語圏って - 2017年6月15日
- モロッコにアフリカ大陸初の高速鉄道 - 2017年1月6日
Be the first to comment on "[書評] エバーグリーン"