[書評] 聖徳太子はだれに殺されたのか

日本人なら誰もが知ってる聖徳太子。
 

聖徳太子はだれに殺されたのか (関裕二古代史の謎コレクション)
関 裕二
ポプラ社
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推古天皇の実子でありながら、皇位継承者たる皇太子の称号はなく、他方で摂政として十七条憲法や遣隋使など政治・外交での大活躍、そして敬虔な仏教徒にして数多のスーパーマン伝説に彩られる”聖人”。
それほどまでの人物にも関わらず、なぜか朝廷の正史たる『古事記』には厩戸皇子誕生の挿話は書かれていても、”聖人”聖徳太子としての活躍は一切記されておらず、もうひとつの正史『日本書紀』は、”聖人”の薨去の前後の事情について口が重たい…
そして太子の没後に起こる乙巳の変、大化の改新に至るまでを俯瞰して、筆者は通説を砕き去る新説を唱える。
謎が謎を呼ぶ古代史の闇は興味が尽きないが、本書を呼んでいてひときわ眼を惹いたのは、京都の広隆寺にある聖徳太子の等身大像。
この像には歴代天皇の即位時の装束を着せる習わしがあり、今上天皇もご奉納されているということ。実際に天皇になったことのない”聖人”が、一体何の為に天皇に擬される必要があるのだろう……

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