「就活中に新聞を読んでおいた方が良いですか?」
という質問はよく受けるし、新聞社も学生の不安につけこんで、購読促進のキャンペーンを展開しているらしい。
新聞を読む意味
確かに、時事問題に長けていることは、社会に出るにあたって大切なことだし、必要条件のひとつかも知れない。でも、だからといって新聞に闇雲に眼を通しても、それだけで就活に成功するという十分条件にはなるまいと思う。
例えば、外国為替が変動して、1ドル100円だったものが120円になったとする。新聞の見出しを眺めて「ウーム、円安か…」と唸りながらコーヒーをすするだけならば、わざわざ新聞を買って読むだけの価値はないんじゃなかろうか。
円のドルに対する価値が2割も安くなるとどういうことが起こるのか。
貴方がアメリカに留学しているとしよう。月500ドルのアパートに暮らしていたとする。今までは1ドル100円だから5万円。これが120円になると、何もしていないのに家賃が突然6万円に値上がりするということ。親からの仕送りが月10万円で固定されているとしたら、残りの生活費を切り詰めないと家賃を払えない、その生活費も円貨でみると軒並み2割上がってしまっている、さてどうやって生活をやりくりしたら良いんだろう…
切実な問題
為替変動というのは遠い世界の出来事のような気がしてしまうけど、自分の生活に関係してくれば必死になる、ならざるを得ないことが分かるだろう。
そして、外国と仕事をしている会社 − 直接取引がなくても、原材料を輸入したり海外で組み立てる為に部品を輸出している場合もあるだろう – にとって、為替の変動は、自社の存亡にも関わる切実な問題だということを考えなければいけないと思う。
自分が志望している業界、会社、その取引先が、新聞に書かれている事象によってどのような影響を受けるのか、そして、企業は為替のみならず、諸々の突発的な出来事にどのような対策を取っているのか、自分ならばどういう対策を考えられるだろうか… そうした疑問や想像に対するヒントが、新聞には詰まっているはずなんだ。
外国為替だけじゃなく、他の経済政策、政治、企業のプレス・リリースなどの紹介記事にしても同じで、それらの事象が起きるとどうなるのか、自分にとってどういう影響があるのかっていう視点を養うことにこそ、新聞を読む価値があるんじゃないかと僕は思っている。
前にも述べたような「自己分析やっとかないとねー」「OB訪問してみたー」的なノリで、いわばゲームをクリアするためのアイテムのように新聞を買ってみたとしても、文字が右から左に抜けてゆくだけ、月3,000円以上払って自宅に古新聞が積み上がってゆくだけではなかろうか。
(つづく)
shibuyade
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