大企業の役員を退任して非常勤監査役として悠々自適の父、趣味のお芝居通いにいそしむ母、そして自分は親元から働きに出る31歳のOL。
そして”我が家の癌”、大学を中退した後、アルバイトで糊口をしのぐ問題児の弟が、2年ぶりに実家に帰ってきたことから、我が家の何かが崩れて、壊れてゆく。普通でルールを守りお行儀もよいと言い聞かせていた、自分の生活の秘密の部分までもが…
読み進めるうちに、何処にでもありそうな家庭の光と闇が筆者独特のタッチで克明に浮き彫りにされてゆき、平成版『胡桃の部屋』(向田邦子)ともいうべきスケールに驚いてしまう。
筆者がどこまで向田邦子を意識しているのかは分からないけど、果たして主人公の名前は両者とも「桃子」。
しばらく飛鳥井千砂の小説から遠ざかってたんだけど、やはりまた読みたくなる、新しい彼女の世界を知りたくなる思いを強くした一冊。
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